introduction-to-lateral-thinking

ここ最近よく耳にするラテラルシンキング。正解ありきで論理的に思考するロジカルシンキングが垂直思考とも言われるのに対し、正解を決めずに自由な発想を行う水平思考のことを指します。

本書はタイトルこそ "ずるい考え方" とキャッチーにしてありますが、何もずるいことはありません。正解主義からの脱却が謳われる昨今では、ラテラルシンキングは重要な考え方として注目されている印象を受けます。

全9章の構成で、ラテラルシンキングとはどういったものかという説明から考え方のコツなどを、具体的なエピソードや例題を混じえながら解説されています。専門用語も少なめで、入門書と題しているだけあって表現も優しくわかりやすい。

ラテラルシンキング(水平思考)のポイント

ポイントは正解がないということ。自由な発想を行うことが重要であり、そのためには前提を疑うこと(固定観念にとらわれない)、物事を抽象化すること(本質を見抜く)、偶然の発見を見逃さないこと(セレンディピティ)が必要とされています。

例えば、本書の冒頭で「13個のオレンジを3人の子どもに公平にわけるには?」というお題が出てきます。水平思考は自由で正解が決まっていないので、どんな発想をしてもいいわけですが、これがなかなか難しい。

いくつか出てくる例題にはもちろん解答例も示されており、それを読むだけでも水平思考の考え方や重要性がなんとなく見えてきます。

マーケティング的な視点

水平思考はマーケティングでも活用されることが多く、自然界の生物になぞって「コバンザメ型」「寄生虫型」「ヤドカリ・イソギンチャク型」の3パターンに分類したビジネスでの活用方法なども語られています。

とある本がヒットすれば、なぜ似たようなタイトルの本が続々と出てくるのか。有名なラーメン店の近くには、なぜラーメン店が並んでいるのか。そういった現象にも水平思考が重要な役割を果たしており、立派なマーケティング戦略だという話です。

練習しないとなかなかできない

正解はないので自由に考えましょうと言われても、なかなか直ぐにはできません。本書でも紹介されていますが、有名人になりきってみて、その人物ならどう考えるだろうという思考法はいいと思います。

以前、ブレストの練習で同様のことをやってみたことがありますが、普段の自分とは違う発想が出てくるので(そもそも自分とは違う人物ならどうするかという発想なので)面白いです。

また、『仕事は楽しいかね?』にも書かれていたと思いますが、新しいアイデアは既存のアイデアの組み合わせから生まれるものです。その組み合わせ方を考えるのに水平思考は相性がよく、日頃から練習しておくと、思いもよらない場面で役に立つかもしれません。

『仕事は楽しいかね?』もかなり良い本で、水平思考に関わる内容もあるので久しぶりに読み返してみたくなりました。

正解主義からの脱却という視点では、こちらの本もおすすめです。
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