2001-space-odyssey-moon

1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』と、2009年に公開されたダンカン・ジョーンズ監督の『月に囚われた男』を観ました。

意図して2本続けて観たわけではなく、なんとなく似たような感じのテーマの映画を観てみたら、ストーリーはどことなく似ているのに人工知能の描き方が真逆になっていて面白かったです。

『2001年宇宙の旅』はあまりにも有名ですが、21世紀を想像してどういったことが実現されているかを描いた映画、くらいに思っていました。なのでストーリーは無いと思っていましたが、木星探査とモノリス(謎の物体)調査のダブルミッションを課せられたHAL(人工知能)が、"自分を守る"ために独自の判断で宇宙船の乗組員を危険にさらすという、なかなか重いストーリーになっていて驚きました。

一方、『月に囚われた男』は、月で3年契約の仕事をこなしていたサムが、任期を終えても地球に帰るどころか命の危険に晒され、やがて自分の身に隠された重大な秘密を知ってしまう。それに協力するのが、ガーティ(人工知能)。ガーティは"サムを守る"ために、組織から課せられていたルールを独自の判断で破り、サムが地球に帰れるようにサポートするというストーリー。

人工知能が重大な局面に置かれたときに、自分の意志でどういった行動を取るのか、が真逆に描かれていたので、偶然ですが続けて観たことで面白さが倍増。そして、2009年に作られた映画と比べてみても遜色ないどころか、むしろストーリーは今風(人工知能の怖さを煽るという意味合いで)な『2001年宇宙の旅』の凄さが際立ちました。50年以上前に構想されたとは信じられない。

僕は今のところ、人工知能が人間を危険にさらすような未来よりも、うまく共存している未来のほうが実現性は高いと思います。HALもガーティもどちらも人間臭くて面白いですが、そういう意味ではガーティの方が好きです。