450-from-paddington

アガサ・クリスティーが生んだもう一人の名探偵ミス・マープル。マープルシリーズは一度も読んだことがなかったので、有名な『パディントン発4時50分』から読んでみました。シリーズ1作目だと思っていましたが、本作はシリーズ7作目だそうです(1作目は『牧師館の殺人』)。

パディントン駅4時50分発の列車の座席で目を覚ましたマギリカディは、ふと窓から見えた並走する列車の中で、背中を向けた男性が女性の首を絞めているところを目撃する。鉄道局も警察も半信半疑だったが、友人のミス・マープルだけは信じてくれた。そしてミス・マープルは独自に調査を進め…という話。

とても読みやすく、(最近は1冊読むのにすごく時間がかかっていましたが)割とあっさり読めました。ポアロシリーズと比べると驚きや衝撃は少なめですが、マープルの人柄はいいし、ストレスなく楽しめました。一族モノのどろどろした話に発展して行く感じも好みです。

本作は7作目ということもあって、ミス・マープル自身があまり動けないために(本名ジェーン・マープルはお婆さんで、趣味の庭いじりもあまり無理しないように医者から止められている設定)、助手役に捜査をしてもらいます。僕はシリーズを通して初めて読んだので、そういうものだと思っていましたが、初登場のあたりはもっと活発だったのかもしれません。

ちなみに、ポアロシリーズの『アクロイド殺し』に出てくるシェパード医師の姉(噂好きで村中のことを知っているキャロライン)が、マープルの原型と言われているそうです。

とにかく読みやすく、純粋にミステリーの楽しさを味わえたので、次は『牧師館の殺人』を読んでみます。『予告殺人』『ポケットにライ麦を』『鏡は横にひび割れて』あたりも気になります。