イギリスの作家、ジョン・ル・カレの『誰よりも狙われた男』を読みました。ジョン・ル・カレはスパイ小説の巨匠として有名だそうですが、自身もイギリス情報部に勤めていた経歴があるそうです。
ドイツのハンブルクに密入国したイッサ。弁護人としてイッサを守ろうとするアナベル。経営する銀行とイッサとの関わりを知り、協力を決意するブルー。国際指名手配犯のイッサを狙うスパイのバッハマン。それぞれの思惑が交錯するとき、事態は思わぬ方向へ進んでいく…という話。
あまり狙われている感がない
『誰よりも狙われた男』というタイトルに惹かれて買った本ですが、あまり狙われている感がなかったです。はらはらドキドキという感じでもなく、基本的に静かに展開していくので、終始落ち着いたテンションで読みました。
イッサの台詞や態度に違和感を覚えたのもその原因だと思いますが、読み終えてみると、そういう話じゃないことがわかって少し納得しました。
また、ジョン・ル・カレの特徴らしいですが、登場人物が多く、しかも呼び方がころころ変わるので、誰の話をしているのか、いま誰が話しているのかがわかりづらく、ストーリーが頭に入ってこない場面がちらほらありました。二回読まないと理解できない系の本ですが、500ページ近くあるので難しい。翻訳もあまり合わなかったように思います。
置いてけぼりのラスト
ラスト30ページでの動き、思わず「えっ?」と声が出てしまう終わり方、これこそがこの作品の魅力だと思うのですが、如何せんストーリーにちゃんとついて行けていなかったので、完全に置いてけぼりになりました。テーマは固定観念による不当逮捕と、アメリカの奔放なやり方に対する皮肉という理解でいいのかな。。
『誰よりも狙われた男』は映画化されているそうですが、文章で読むよりも映像で観たほうが面白そうだなと思いました。ドイツのスパイ、バッハマンがかっこよさそう。