人工知能(AI)に関する書籍や映画がたくさん出ていますが、人工知能について理解するには松尾 豊さんの『人工知能は人間を超えるか - ディープラーニングの先にあるもの』がおすすめです。
まず、人工知能とは何かをわかりやすく説明することで、人工知能はまだ完成していないことを教えてくれます。世間一般でイメージされている人工知能とのギャップが面白かった。
次に、なぜまだ人工知能は完成していないのかについて、人工知能に関する研究の歴史を大きく4つのフェーズに分け、それぞれの段階で何が課題でなぜクリアできなかったのかが解説されます。
コンピュータに「知識」を与える作業は人力でやるしかなく、それには膨大な時間がかかること(特に一般常識)。機械学習の研究が進み精度が上がったが、重要な「特徴量」をコンピュータに与える作業は結局は人がやるしかなったこと。それが、「ディープラーニング」の登場によって、もしかするとコンピュータ自信がビッグデータからあらゆる特徴量を発見できるようになるかもしれないこと。こういったことが、わかりやすい図や例を用いて丁寧に書かれていて、とにかく読みやすい。
2014年頃から話題の「シンギュラリティ」は来るのか、そもそも本のタイトルでもある「人工知能は人間を超えるか」についても明確に答えを記されています。
僕自身は、この本を読む前には、シンギュラリティは来る。人工知能は人間を超える。でもやっぱり怖い(トランセンデンスとかherとか観てた影響もある)。と思っていましたが、この本を読んでからは(読んだのは2015年)人工知能に関する不気味な怖さというはなくなりました。
もちろん、使い方次第ではいくらでも脅威に成り得ると思いますが、それよりもやはり、翻訳や自動運転、医療の分野が発展して、人がうまく人工知能を利用する便利な世の中が来ると思っています。
とにかく、最近は人工知能の怖さを煽る傾向が強くなっているように感じるので、人工知能が正しく理解されていい方向に社会に受け入れられるように、この本がもっとたくさん読まれるといいなと思います。
そういえば、この本で紹介されていた「東ロボくん」は東大諦めたそうですね。
→ 人工知能「東ロボくん」 “東大諦める”
一方、運送(ラストワンマイル)についてアメリカではこんな動きもあって楽しみ。
→ 自走ロボットによる配達法が米バージニア州で成立、7月1日施行へ。フロリダ他でも制定の動き