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『AI(人工知能)が同僚』を読みました。いろいろな業界のAI活用事例を紹介しながら、近い将来に人はAIに職を奪われるのか、それとも一緒に働けるのかを問いかける内容。

一貫して言われているのは、AIはデータ解析が得意であり、人はよりクリエイティブな仕事をするようになること。なぜなら、経験や感情、勘といった感覚的な要素をもとに判断ができるのは人だけだから。

また、AIは問題を解くことは得意だが、解くべき価値のある問題を見つけることが人の仕事。という表現がキーワードだと思います。

ディープラーニングの発展により、AI自身が判断できるようになってきているとはいえ、人の感覚に近づくにはまだまだ課題があるようです。

印象に残った活用事例

ハウステンボス

2016年7月時点で、16種類182台のロボットを導入しているそうです。芝刈りをしたり、管内の案内やピアノの演奏をするロボットなど、未来感があっていいですね。「変なレストラン」ではロボット(ワトソンを活用)が料理をしたり飲み物を運んだりもしてくれるそうです。一度行ってみたい。

三越伊勢丹「SENSY x ISETANMEN'S」

AIが搭載されたファッションアプリを利用することで、好みに合った商品を提案してくれるというもの。一般的なレコメンドエンジンとの違いは、「Aさんにとってはカジュアルすぎる」「Bさんにとってはちょうどいい」といった、人の感性を考慮できる点だそう。うまく機能すればECの常識を変える仕組みになりそうです。

あきんどスシロー

機械学習によって、スマホアプリから予約した際の待ち時間予測の精度を改善。ポイントは、店ごとの「癖」を把握することだそうです。「ガスト」への適用も進めれられているとか。この技術は、是非とも病院の待ち時間予測にも応用してもらいたい。

アスクル

LINEと連携し、チャットボットを利用して顧客への問い合わせに対応。AIを活用して、顧客が時間指定をできるサービス「ハッピー・オン・タイム」を開始。これによって、20%以上とされる不在率が6%まで改善したそうです。宅配業者の再配達問題は旬な問題なので、業界全体の改善につながってほしい。

東京大学医科学研究所

AI(ワトソン)を活用して遺伝子情報を分析し、一人ひとりのがん患者に適した治療法を提示する研究が進められているそうです。実際に、標準的な抗がん剤が効かなかった患者に対し、ワトソンによって提示された解析結果をもとに、医師が治療法を変更したことで助かった例もあるとのこと。ますます発展が期待される分野です。

意味を理解できるのは人間だけ

ビッグデータを素早く分析して答えを出すことは得意でも、その「意味」を理解できないのがAIの弱点であり、人にしかできないこと。そこをうまく人が補完する関係性を築くことができれば、AIを同僚とした新しい働き方が見えてくる。単に仕事を奪われる恐怖だけにとらわれず、(AIが社会に浸透するのは必然として)前向きに考えて行きたいですね。