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ついにピエール・ルメートルの『その女アレックス』を読みました。『悲しみのイレーヌ』が辛すぎてなかなか手が伸びずにいましたが、読んでよかったです。

生々しくて残酷な描写には抵抗がありますが、まったく先が読めない(予想したことがことごとく外れる)展開とその構成力には脱帽です。文章も読みやすいので、翻訳もいいんだと思います。

舞台はパリ。ある日、アレックスという女性が誘拐される。これといった捜査の手掛かりがなく、時間だけが過ぎていく。カミーユ警部は誘拐犯を捕まえることができるのか、そしてアレックスを救うことはできるのか…という話。

すべてが予想外の展開

本の裏表紙に、アレックスには秘密がある、物語は大逆転を繰り返すとあるので、多少は予想しながら読み進めましたが、まったく予想外でした。場面が切り替わる度に驚き、前のページを読み返しながら興奮して次の展開を考える。そして、また驚くの繰り返しです。

最近はミステリーばかり読んでいますが、他に似たような作品もなければ、これほど驚きを繰り返した作品ははじめてです。ラストで大どんでん返しがある作品は多いですが、この作品の、途中で何度もひっくり返る感じがほんとに凄い。

救いはあったのか

「救い」がテーマのひとつになっていると思いますが、アレックス視点とカミーユ視点では随分異なるように感じます。あくまでカミーユ警部のシリーズ物としてみれば、カミーユは少なからず救われたと思います。しかし、アレックスはどうなんでしょう。計画的に行動したとはいえ、"司令塔"は他に選択肢を与えてくれなかったのかと思わざるを得ません。それでもこの作品の終わり方には救いを感じたので、最後はよかったのかなと思いました。

さて、カミーユ警部シリーズ三部作の最後は『傷だらけのカミーユ』。またタイトルからして読むのが辛そうですが、ここまでくれば最後までピエール・ルメートルの凄さを堪能したいと思います。

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