angels-and-demons

日本で出版されたのが平成18年なので、11年振りに再読しました。『ダ・ヴィンチ・コード』でおなじみロバート・ラングドンシリーズの第一作目、ダン・ブラウンの『天使と悪魔』。

セルン(欧州原子核研究機構)で、胸にイルミナティの紋章を焼印された死体が発見され、極秘に研究されていた反物質が奪われていることが判明する。調査の依頼を受けたラングドン教授は、反物質の在り処を探すためにイルミナティの謎に挑む。コンクラーベが行われる日にヴァチカンで何が起きるのか、ラングドンは謎を解くことができるのか、そしてイルミナティの目的とは…という話。

上中下と3冊に分かれている大作ですが、テンポのいい構成と引きの強い文章で飽きさせず、夢中で読んでしまいます。

史実と創造を組み合わせた謎解き

ローマに実在する歴史的建造物、キリスト教やイルミナティに纏わる史実、それらに作者オリジナルの解釈を足して見事な謎解きを構成されているので、リアリティがあって読むのが楽しいです。

実際にローマとヴァチカンに行ったことがあったので、あの時見たあの建物にこんな秘密が…とか、確かにこういう形をしていたけど、そこにこんな意味が秘められていたのか…とか、あれこれ考えながら読めたのが更によかったです。解説に書いてありましたが、『天使と悪魔』は観光ミステリーとしても評価され、この本を片手にローマを訪れる観光客も多かったとか。

謎解きに使われている素材がいいだけでなく、シンメトリーな暗号がまたいい味を出していて、これでもかと言うくらいに惹きつけられました。

最後まで読めない展開

黒幕の存在を匂わせながら、最後まで真相がわからない展開、そして一連の事件に隠された真の目的など、途中でわかりそうでわからない感覚が最高です。

最近、いろんなタイプのミステリーを読んでいますが、職業探偵ではない探偵役、暗号、黒幕の存在、犯人の動機など、どれを取っても一番かもしれません。それだけ好みに合っていて、今後も再読すること間違い無しの作品です。ほんとに最高。

ちなみに、『ダ・ヴィンチ・コード』は公開当時に劇場版を観ただけだったと思うので、改めて原作を読んでみたいと思います。

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