英国で100万部も売れたという『完璧な家』。いわゆるサイコパスものです。
イギリスの郊外にある豪邸に暮らすグレース。完璧な夫・ジャックとともに完璧な家に住むグレースは、誰もが羨む完璧な人生を送っているかに見えた。しかし、彼女には決して人に言えない秘密があった。完璧な家で、恐ろしい生活を強いられているとは…という話。
現在と過去が交互に描かれる構成に少し戸惑う部分もありましたが、単純に時系列に沿って展開するより、空間を自分で想像しながら読めるのでよかったです。
真相がわかってからしばらくは、過去編がつらくて早く現在を進めてほしいと思いながら読んでいました。特に、終盤にかけては先が気になって読むペースも早くなりました。
終わり方はよかったなーと思うのですが、どうやって復讐するのかという1点に期待していたので、その点に関しては少しだけ消化不良でした。
※ネタバレ注意
具体的に言うと、何となく勘付いていそうなエスターに、どうやってメッセージを伝えるのかなと期待していました(序盤からエスターが何かしてくれそうな含みのある書き方だったし)。そこにミステリー要素を求めていたので、(もちろんグレースの周到な準備はあったものの)ラストの展開は運要素が強い印象を受けました。
まあでも、エスターのおかげで明るい感じになったので、結果的にはいい終わり方だったなと思います。
読み終えるまで、特にサイコパスものということは意識せずにいましたが、確かにジャックはその特徴を捉えたタイプと言えそうです(詳しくは中野信子さんの『サイコパス』参照)。
ここ最近、サイコパスものが増えている印象を受けますが、イギリスでもサイコパスものが流行っているのかな。100万部売れるって相当すごいですよね。しかも著者のB・A・パリスは本作がデビュー作だとか。
ちなみに、原題は『Behind Closed Doors』だそうです。このタイトルでもイメージできますが、邦題の『完璧な家』はより一層、その裏に隠された秘密感が増していていいなと思いました。"家" のフォントが傾いているのも素敵。