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ラングドン教授シリーズ4作目の『インフェルノ』を読みました。

舞台はフィレンツェ。目が覚めると病室にいたラングドン教授。なぜ自分がそこにいるのか記憶がない。しかも誰かに命を狙われている。なんとか病院から脱出したラングドンは、やがてダンテの『神曲』が手がかりだと気づく。果たして事件の真相は…という話。

今回登場する謎の組織は例によって実在するそうですが、前作までと違って名前は伏せられていますね。単に"大機構"と称されていますが、伏せられている理由は読み進めると推測できます。なかなかアンダーグラウンドな組織のようです。

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前作までのシリーズでは宗教色が強い印象でしたが、今回は少し変わって、人口の爆発的増加による人類滅亡の危機という壮大なテーマになっています。その危機に人はどう立ち向かうべきなのか、どう対応するのが望ましいのか、倫理的な面も含め正解のない問いに問題提起をしているような内容でした。

それだけ大きなテーマであるにも関わらず、ダンテの『神曲』に焦点を当て、史実と絡めたミステリーに展開しているダン・ブラウンはやはり凄いと思います。下調べに相当な時間をかけているはずで、さらっと読んでしまうにはあまりに勿体ない作品ですね。

謎解き要素が弱まってきているのは少し気になるのですが、今回は舞台が好きなイタリアに戻ったこともあり、より一層観光気分を味わえて楽しかったです。

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人口増加について少し調べてみました。2011年に70億人を突破し、2056年には100億人を越すと予想されているそうです。一方、増加率は次第に減少し、人口の爆発的増加という危機は遠のいたとされているようです。日本で見てみても、高齢化による人口減少や地域間の格差といった問題が重要視されていますね。

さて、シリーズ5作目は2018年2月に発売された『オリジン』。舞台はスペインで、テーマも更に大きくなり、人工知能も出てくるとかなんとか。期待値が高すぎてまだ手にとっていないのですが、時間をかけて読もうと思います!

劇場版について

※2018年6月16日追記

遅ればせながら劇場版を観ました。いろいろと設定が変わっていたり、原作で細かく描写されている箇所がカットされていたり、そのあたりは許容範囲でした。予想はしていましたが、やはり原作とは結末が変わっていましたね。

ストーリーやダンテの神曲にまつわる謎解きというよりも、映画ならではの映像美で、イタリアの街並みや芸術作品を観て楽しむ映画という印象。

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