langelo

イタリアの作家、サンドローネ・ダツィエーリの『死の天使ギルティネ』を読みました。『パードレはそこにいる』に続くシリーズ2作目だそうです。1作目は未読ですが、それほど支障なく読めました。強いて言えば、1作目を読んでからの方が、探偵役のダンテについてより理解が深まって面白いのかなと思いました。

舞台はローマ。テルミニ駅に到着した列車の先頭車両で、乗客が全員死亡していた。犯行声明が出されるが、謎は深まるばかり。捜査官のコロンバ、変わり者コンサルタントのダンテが独自に捜査を進める中で、ギルティネの存在に行き着くが…。ギルティネの正体とは、果たして二人は事件を解決することができるのか…という話。

ギルティネの存在が魅力的

過去と現代の描写や、ギルティネ側とコロンバ側の描写が入れ替わり立ち替わりで描かれ、その度にギルティネの謎が深まって魅力的な存在に思えました。その半面、終盤に進むにつれ、ギルティネの正体や、一連の行動の目的が予想外で、驚きというよりも悲しさを感じます。

また、意識を完全にギルティネに向けながら読んでいたので、ラストの展開には度肝を抜かれました!シリーズ物の醍醐味というか、あくまで物語の中心はダンテだということを認識させられ、結局1作目の『パードレはそこにいる』が読みたくなりました。3作目は現在執筆中だそうですが、これも楽しみ!

探偵役のダンテも魅力的なキャラクターです。『パードレはそこにいる』を読んでいないので、薬漬けになっている理由などは何となくしかわかりませんが、デロリアンに乗っていたり、相手の嘘を見破る能力など、ただの変人ではなくて面白い。

ダンテのいいところは、変に勿体ぶったりせず、思ったことをはっきり言うところです。設定上、行動力に乏しいところはありますが、古典ミステリー特有の?焦れったさを感じずに読めるのでよかったです。いわゆる名探偵物も面白いですが、こういう(職業探偵ではない)変人が探偵役のミステリーもいいですね。


古典ミステリーに少し疲れたので、最近の海外ミステリーを中心に読むようにしています。なぜか上下巻に分かれている作品が多いので読むのに時間がかかりますが、時代背景や設定など、適度な距離感があって読みやすい。タイトルや表紙がかっこいいのもいい。