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『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』に続く、ラングドン教授シリーズ3作目『ロスト・シンボル』を読みました。

今回のテーマはフリーメイソン。前作までのイルミナティやシオン修道会よりも聞き馴染みのある組織で、舞台もヨーロッパから変わってアメリカ。

フリーメイソンの最高位であるピーター・ソロモンから講演依頼を受けたラングドン教授。ワシントンにある会場に到着したラングドンは、切断されたピーターの右手を発見する。その右手に隠された暗号から、フリーメイソンの秘密に迫る一大事件へと巻き込まれる。CIAも加わって、事件は一層謎めいた方向に進んでいく…という話。

いつにも増して焦れったいラングドン

前2作とは違って、明らかに謎解きに前向きではなく、何かにつけては保守的な態度をとって焦れったいラングドン。そんなわけで、『ロスト・シンボル』は少し読み進めるのがしんどくて時間がかかりました。

フリーメイソンや象徴に関する知識はもちろん、暗号を解き始めたときの興奮などは健在なのですが、常に否定的な印象を感じたので、前2作ほどのわくわく感はありません。ただ、それでもやはり面白い。

薔薇の十字団(ローゼンクロイツ)が出てきたあたりが一番テンション上がりました。

一人二役を超えたトリック

ミステリーの三代トリックのひとつと言われる一人二役。ネタバレすると面白くないのでこれ以上のことは書きませんが、『ロスト・シンボル』はそれを超えたと言っても過言ではないと思います。ダン・ブラウン作品を読むときは毎回そうですが、今回も完全にやられました。予想を超えた展開に脱帽です。

今回は特に、犯行の動機や犯人像の描写についての魅力が増していて、その反面、暗号の美しさや謎解きとしてのオチに関しては少し見劣りする部分があった印象です。

これまでの3作品の中で唯一映画化されていない作品ですが、舞台がアメリカなのとフリーメイソンの秘密に結構迫っているような内容なので、余計に実現が難しかったのかなと思います。制作着手はされていたそうですが、先に4作目の『インフェルノ』が公開されているので、もう無いのかもしれません。

もし公開されるとすれば、CIAのサトウ役がどうなるのかが楽しみ。

『インフェルノ』も読むつもりですが、2月に発売予定の『オリジン』(舞台はスペイン!)も気になって仕方ありません。

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