miyama-monogatari

あさのあつこさんの『ミヤマ物語』。第一部から第三部までの三部構成ファンタジー。

「ウンヌ」で暮らすハギと、現代の都会で暮らす透流。ハギは厳しい統治制度の下で生活していたが、ある事がきっかけで制度に疑問を抱き始める。そんなある日、ハギと透流が出会って二人の人生が変わっていくという話。

三冊あるので長いように感じますが、文章量はそれ程多くなくすらすら読めるので、そんなに時間はかかりません。情景がイメージしやすいので、アニメを見ているような感覚で読めました。

テーマは同著者の『NO.6』に通じるところもあるので、両方読むとさらに著者が伝えたいことがわかっておすすめ。

問題提起でありながら、その答え(間違っていることはわかっても、正しい方法とは何なのかという明確な答え)を見つけ出せないもどかしさが残り、人間社会における永遠の課題について考えさせられます。

すらすら読めるファンタジーなので、「おもしろかった!」で終えるのもいいと思いますが、それだけでは終われない余韻が残る小説でした。『NO.6』もそうですが、あさのあつこ作品の魅力はそういうところにあるのかも。