どこの本屋に行ってもだいたい平積みされている話題の本格ミステリー『屍人荘の殺人』(しじんそうと読む)。文庫化されるのを待っていましたが、続編は出るわ映画化も発表されるわと一向にその気配がないのでハードで読みました。
大学のミステリー愛好会に所属する明智と葉村は、謎の女性・剣崎との取り引きによって映研部の夏合宿に参加することに。興味本位に事件を求めてはいたものの、合宿先のペンションでまさかの事態に陥り、やがて連続殺人事件が…という話。
いかにも王道の本格ミステリーといった感じですが、思わず「えっ?」と声を上げてしまう設定と展開、ラノベ感の漂うキャラクターと文章がいい感じに相まって、読みやすくて面白い小説でした。
良く言えば斬新、悪く言えば反則とも言える設定があまりにも予想外で、僕はそれが面白かったのですが、ガチガチの本格ミステリーを求めて読むとちょっと合わないかもしれません。
そして、探偵役の扱い。これも意表を突かれてよかったです。
二重構造と見せかけて片方が割と放ったらかしなのと(続編で触れるのかな?)、とんでもない変化球を投げながら落ち着くところに落ち着いた感じに若干の物足りなさは残るものの、全体的にはやっぱり面白かったです。続編も読みます。
レビューでも見かけましたが、とんでもない状況下に置かれながらも、登場人物たちが結構冷静で緊迫感があまり感じられないのは確かにそのとおり。そこはでも、コミカルな感じを出したかったのかなと思うので、そこまで気にはなりませんでした。
映画化に関しては、どっちの方向に振って行くのか気になるところ。あまり邦画は観ないのですが、『TRICK』を手がけた脚本家さんらしいので、そういう意味でもこの作品の映画化には興味があります。
とりあえず、次の『魔眼の匣の殺人』を読みたいと思います。