murders-in-the-box-of-clairvoyance

『屍人荘の殺人』が話題の今村昌弘さんのシリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』。

紫湛荘(しじんそう)で巻き込まれた事件に、班目機関という謎の研究機関が関わっていることを知った剣崎と葉村。調査を進めるうちに、真雁(まがん)地区に研究施設があったことを突き止める。施設を訪れると、そこにはサキミと呼ばれる予言者が居り、葉村たちに「男女二人ずつ、四人死ぬ」と告げた…。

前作の『屍人荘の殺人』が、あまりに意表を突いた方法でクローズドサークルを作り上げたのが面白く、そのままの期待値で読みました。結論から言うと、『魔眼の匣の殺人』は面白くなかった。

このシリーズでは、しきりにハウダニット、フーダニット、ワイダニットというミステリー用語が用いられるので、それに倣うと、僕はあまりハウダニットには興味がなく、ワイダニットに興味があります。

その点、ワイダニットに注目する剣崎のスタイルや、このシリーズの "現実にはあり得ない設定にうまくリアリティを持たせて独特の世界観を生み出す感じ" は合っていて、今回の予知能力や動機も好みではあります。

それでも面白くなかったのは、全体を通して引きが弱く、アツくなる場面がなかったこと。予知能力の扱いが中途半端に感じたこと。そして、ミッシングリンクを匂わせながら、それもいまいち中途半端だったことなどが挙げられます。

素材をふんだんに盛り込んでスパイスを効かせたら味がよくわからなくなったピザ。みたいな感じです。たぶん…。

シリーズは続くようですが、班目機関もよくわからないし、剣崎と葉村もはっきりしないし、次作はもう少しシンプルな味付けでよろしくお願いします。