綾辻行人さんの館シリーズ第4弾『人形館の殺人』。
父が遺した屋敷に住まうことになった想一。そこは、のっぺらぼうで、且つ身体の一部が欠けたマネキンが随所に佇む人形館。街で起こる連続殺人事件。やがて想一のもとに届く脅迫状。身の危険を感じる彼は、自らを守ることができるのか…という話。
読み終えた感想を一言で云うと「やりすぎ!」です。
シリーズ4作目ともなると先入観を持って読んでしまいますが、これはその方が楽しめます。読者の期待を裏切るというか、予想を超える展開にしようという著者の意図(遊び心)が感じられていいのですが、ちょっとやり過ぎな気がしました。
逆に、この作品から読み始める(先入観を持たずに読む)と、割とあっさり解ってしまうのかも。
建築家・中村青司が建てた館、なぜかいつも関わることになる島田潔。この2つがシリーズの共通点ですが、それらの意味するところ、役割が毎回違っていて、"必ずしもそうではない"という意識を持たせる狙いもあるのかなと思います。
シリーズでも1, 2を争う異色作と評されているだけあって、これまでの3作とは毛色が異なります。それ故に、次がどうなるかまったく予想がつかない状態になってしまったので、ある意味『時計館』に対する期待は高まりました。
ただ、こうなってくるともう、なんでもありだなという気もしています笑。
本格ミステリーと分類するには疑問が残りますが、シリーズを順番に読み進める上で、これはなかなか良いアクセントになってくる。そんな印象を受けました。
さて、次はいよいよ十角館の次に名高い時計館。とりあえず、先入観を捨てて挑もうと思います。