okane2point0

佐藤航陽さんの『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を読みました。先日読んだ、同著者の『未来に先回りする思考法』の続きとも言える内容です。

「お金」とは一体何なのかを考え、これまでの経済における歴史的な背景や、テクノロジーの進化によって社会がどう変化してきたか、そして、これからの経済はどのように変化していくのかを解説されている本です。

タイトルにお金と付いていますが、お金の稼ぎ方を書いているわけではなく、「お金とはこういうもので、昔はこういう社会だったから重要視されてきたけど、これからの社会はこう変化していくから、お金とは違うものに価値が見出されて、次第に人はお金から開放されていく」といったことが書かれています。


テクノロジーの発達により、経済システムを作ることが容易になった今、誰もが自分に合った経済システムを選択して生きることができる時代になりつつある。という話が印象的でした。

ソードアート・オンラインというVRMMORPGをテーマにしたアニメがありますが、ブロックチェーンによってゲーム内トークンが発行され、いつでもその価値をいろんなカタチに変化することが可能になれば、まさにゲームの世界(経済システム)で生きることも可能になるかもしれません。

例えば、ゲーム内のアイテムを、ユーザー独自の物であると証明することができれば、そこに価値が生じます。そして、ゲーム内の通貨をビットコイン(BTC)のような仮想通貨として発行すれば、ゲーム内通貨を現金に替えたり、他の仮想通貨に替えたりといったことも可能になると思います。そうなると、ユーザーがゲームの中で稼ぐことが可能になって行くはずです。

フランスの有名なゲーム会社Ubisoftが既にブロックチェーンの活用を研究しているそうです。

Youtuberやインスタグラマーはこれからの時代でも強く生きていけるだろうなという感覚は何となく持っていたのですが、その理由も本書で解説されています。ただし、関心を集めることと評価されることは違い、資本主義から価値主義へと変わる経済の中では、あくまでも信頼が重要だという点はしっかり意識しておかないといけないなと思います。

『お金2.0』では度々「価値主義」という言葉が出てきます。価値を「有用性としての価値」「内面的な価値」「社会的な価値」の3つに分類し、資本主義では「有用性としての価値」のみが重要視されていたために限界が来ている。価値主義では「内面的な価値」「社会的な価値」も取り扱うことがポイントで、そのためにテクノロジーが必要と説かれています。

内面的な価値とは、共感や興奮、信頼など、人の内面に影響するもので、社会的な価値とは、慈善活動やNPOのような、社会全体に影響するものだそうです。モチベーション3.0という言葉もありますが、それと近いですね。

情報化社会になって、承認欲求や自己実現の欲求を満たしやすくなってきた今、マズローの5段階欲求の上位からさらに上に価値を見出す時代になってきたということだと思います。


コミュニティの価値を売買するサービス「fever」が発表されました(2018年2月26日時点で事前登録受付中)。3名以上で結成されるコミュニティを、fever内で上場させることで独自のコミュニティコインを発行することができ、そのコインを通してコミュニティを支援することができるというものだそうです。これも一つの経済システムを作ることだと考えられます。

他にも、自分の価値を売買するVALUや、時間を売買するタイムバンクといったサービスが既に稼働しており、これからますますこういった価値の売買に関するサービスは増えていくと思います。

→ 参考 : 株式のようにコミュニティの価値を売買できる「fever」が3月オープン、事前登録ユーザーは3万人超える


新しい経済で生きていくには、何より信頼が重要だと思います。SNSが広まったことで、誰がそれを書いているのか、誰がそれを言っているのかが重要視されます。その内容も、多くの人が言っているようなことよりは、その人の独自性が伝わってくる内容のほうが評価されると感じます。

そして人との繋がり。これもSNSによっていろんな繋がり方(繋がるきっかけ)ができるようになったからこそ、嘘偽りのない、無理に関心を集めたり承認欲求を満たすことに走ったりしない使い方が大事だなと感じます。

そこで、自分にできることは何かを考えてみると、まずはちゃんと自分の名前を出すことかなと思いました。Facebookは最初から実名で使っていますが、2年ほど前から、ブログやTwitterでも実名を出すようにしました。

そこで何を発信するかは、それこそ何に価値を見出される時代かはわからないので、狙って発信するというよりも、自分の好きなこと、興味を持って続けられることを発信することが、結果的に独自性と信頼に繋がると思います。

このブログは、今では読んだ本について書くことに特化していますが、いろんなカテゴリで書く内に(最初はちょっと無理してた)自然にそこに集約してきたので、今はそれが自分にとって良いのかなと思っています。まあ、そこに価値があるのかはわかりませんが、続くうちは続けてみます。ちなみに、仕事に関することはnoteに書こうかなと思っています。

Twitterは、特にカテゴリを決めずに、面白いなと思った記事をシェアしたり、日常を晒してみたり、自分の考えを呟いたり、できるだけその時の自分を出すようにしています。

要はセルフブランディングですよね。いよいよセルフブランディングを意識してやっていかないと、新しい経済システムに乗っかることに苦戦するかもしれない。そのために、自分の好きなことを続けて発信することが、価値に繋がり、(会社に属して働くことだけではない)新たな収入源へと繋がり、結果的にお金から開放されていくのかなと思います。


流れが激しく、何が評価されるかわからない時代で、人はほんとにお金から開放されるのか?という疑問はありつつも、これからまず間違いなくやってくる資本主義の終わりと新しい経済についてワクワク感(不安ではなく)を抱かせてくれた本書と著者に感謝です。