ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズ5作目『オリジン』。新作が出る度にテーマが大きくなっているこのシリーズ。今回は "われわれはどこから来て、どこへ行くのか"。人類の起源と未来に迫ります。
教え子のカーシュから、人類最大の謎を解き明かしたという知らせを受け、その発表が行われるスペインのグッゲンハイム美術館を訪れるラングドン。いよいよ発表が行われる直前、カーシュが何者かに撃たれる。彼は一体何を発表しようとしていたのか、ラングドンはその謎に迫ることができるのか…という話。
宗教 VS 科学という『天使と悪魔』で取り上げたテーマに人工知能が加わって、個人的にこれ以上ないくらい興味のある内容で満足度が高かったです。
前作『インフェルノ』の感想にも書きましたが、謎解き要素こそ弱まっているものの、テーマの面白さや、舞台となっている観光名所に行きたくなる描写はパワーアップしていると思います。とりあえず、サグラダ・ファミリアに行きたい。
何より、今回は人工知能に関してかなり事前調査がされているようで、現在で実現可能な技術と、将来的に実現する可能性が高い技術、そして実現するかはわからないけど十分に想像できる未来が絶妙なバランスで描かれています。
これに関しては、あとがきにある松尾豊さん(人工知能の研究者)の解説がわかりやすいです。ストーリーにも深く関わってきますが、シンギュラリティや量子コンピュータに興味のある方は以下の本もおすすめ。
『人工知能は人間を超えるか - ディープラーニングの先にあるもの』
『量子コンピュータが人工知能を加速する』
おそらく『オリジン』も映画化されると思うので、楽しみに待ちたいと思います。しかし、ここまでテーマが大きくなってくると、次回作はどうなるんだろうと要らぬ心配をしてみたり。いや、ほんとに凄いダン・ブラウン。
その他のダン・ブラウン作品の感想
- 『天使と悪魔』
- 『ダ・ヴィンチ・コード』
- 『ロスト・シンボル』
- 『インフェルノ』