planck-dive

何が書いてあるのか難しくてわからないと噂のグレッグ・イーガン本を読んでみました。ハードSF短編集の『プランク・ダイヴ』。表題作を含めて7篇収録されています。

この短編集は、グレッグ・イーガン作品の中でも特にハードな物が集められているらしく、はじめてのイーガンとしては選択ミスだったかもしれません。ほんとに難しかった!

設定が超未来だったり、物理学や数学、宇宙工学の描写があまりにも詳細で、専門家でもない限り理解できないし情景のイメージも難しいです。まさに読者置いてけぼり。でも、ぼんやりとでも全体像が掴めると、その発想やテーマが面白く感じられます。さらっと読み流して巻末の解説で補完するという読み方が合ってました。

そんな難しい作品たちの中でも比較的わかりやすくてよかったのは、「エキストラ」「暗黒整数」「プランク・ダイヴ」。ちなみに、「ワンの絨毯」は後の「ディアスポラ」(長編)らしいです。

エキストラ

自身のクローン(エキストラ)に脳を移植し、不老不死の実現を目指す話。意識は脳の中だけに存在するのかというのがテーマ。

暗黒整数

異なる数学体系を持った並行世界の戦いを描いた話。相手側の数学に対して矛盾を証明すれば、そちらの世界が滅ぶという設定が面白かったです。その計算(攻撃)をする手段が普通のパソコンというギャップもいい。

正直、その設定のぶっ飛び具合に本編だけ読んでもよくわからなかったのですが、解説を読んでなるほどなと思いました。

プランク・ダイヴ

ブラックホールにダイブして、宇宙の謎を解き明かそうという話。しかし、ダイバーがブラックホールについて何かしらの情報を掴めたとしても、それを持ち帰る方法(伝える術)はないという矛盾。にも関わらず、プランク・ダイヴを実行する意義はどこにあるのかというテーマ。科学者気質の人が読むとたまらなく面白いと思います。


最初の「クリスタルの夜」から早速難しく、そこから先になかなか手が伸びずに読み終えるまで時間がかかってしまいました。この短編集が合えば、次は「ディアスポラ」のような長編にチャレンジしようと思っていましたが、当分先になりそう笑。