rage

ポーランドの作家、ジグムント・ミウォシェフスキの『怒り』を読みました。読み終えるまで知りませんでしたが、本作はシャツキ検察官シリーズ三部作の完結編で、日本ではまだ一作目と二作目は発売されていないそうです。なので、いきなり完結編を読むことになってしまったことが少し残念。

舞台はポーランド北部のオルシュティン。白骨死体が発見されるが、死後十日しか経っていない上に、複数人の骨が混ざっているなど、不可解な事実が明らかになる。捜査を進めるシャツキ検察官もやがて事件に大きく関わることになるが…という話。

ポーランドのルメートル(『その女アレックス』の著者、ピエール・ルメートル)と称されているだけあって、作風はよく似ています。ルメートルの先入観があったのでどうしても比較してしまいましたが、ルメートルのことは考えずに読んだほうが楽しめたかなと思います。

事件が思わぬ方向へ進んでいく感じや、場面や視点がころころ変わる構成はよく似ていますが、途中で犯人がわかってしまうところと、緊迫感があまりないところが違いました。

ずっと怒っているシャツキ検察官

タイトルが『怒り』だけあって、主人公のシャツキ検察官はずっと怒っています。ただ、それが話のメインテーマではなくて、男女平等や家庭内暴力がテーマなので、そういった問題に対する著者の怒りが込められているのかなと感じました。

ラストは何とも微妙な感じで、良いとも悪いとも言い難いですが、前作を読めばまた印象も変わってくるのかなと思います。

一作目と二作目も気になる


あとがきに記されていますが、『怒り』は三部作の完結編だそうです。既にネタバレ感が満載ですが、せっかくなので一作目と二作目も発売されれば読んでみたい。シャツキ検察官が怒りっぽい性格になった経緯などが描かれていると面白そうです。できれば、上下巻に分けないで欲しいなー。