ramerunoerikisa

渡辺優さんの『ラメルノエリキサ』を読みました。すばる新人賞の受賞作品だそうです。

女子高生の小峰りなは、ある日夜道で突然背中を刺されてしまう。逃げる犯人に向かって咄嗟に出た言葉は「お前絶対ぶっ殺すからな!」。犯人が残した「ラメルノエリキサ」という謎の言葉を鍵に、幼い頃から復讐の申し子の名を欲しいままにしてきた?主人公の復讐劇が始まる…という話。

めちゃくちゃ面白かったです。ミステリー要素はそこまで強くありませんが、そんなことは気にならないくらいに個性的なキャラクターと、読みやすい文章、惹き込ませる構成。プロローグを読んだ時点で面白いことが確定していました。

姉がいい味を出している

幼い頃に、飼い猫を友人に骨折させられた主人公。抑えきれない復讐心から友人を殺そうとする主人公に対し、ハンムラビ法典を教え、せめて両腕くらいにしておいたら?とアドバイスをする姉。この二人のやり取りが最高です。

なぜ主人公は異常なまでに復讐にこだわるのか、そしていつも妹を気にかける姉の真意はどこにあるのか。もうとにかく姉の言動がいい味出していて面白い。

他の作品も読んでみたい

著者の渡辺優さんは、翻訳家を目指していたところ、英語が苦手なことに気付いて小説家になったそうです。2015年に3作品目にあたる『ラメルノエリキサ』ですばる新人賞を受賞し、その後は『サメの話』『水槽を出たサメ』などを発表されているそうです。

『水槽を出たサメ』は、出だしが "吾輩はサメである。名前はサメである。" らしく、もうこれだけで気になって仕方ありません。

笑わせようとしている感じはないのに面白く、読んでいて楽しい文章なので、他の作品も読んでみようと思います。