sayonara-kamisama

"犯人は◯◯だよ。" から逆算して考えるミステリー。前作の『神様ゲーム』を読んだ勢いそのままに、続編の『さよなら神様』も読みました。

小学校のクラスメイトの一人が神様。小学生のみで結成された探偵団は、神様の言葉が真実なのかを確かめるために、事件の調査を行う。神様のことは信じてはいないが、そこにあるのはいつも非情な真実…という話。

「犯人は◯◯だよ。」で始まる構成で3つの事件が続くので、さすがに3つ目を読む頃には少し飽きてきました。事件自体もそれほど複雑なものでもなく、『神様ゲーム』の方が面白かったかなーと思いながら読んだ4つ目の「バレンタイン昔語り」。ここで一気に惹き込まれました。

ひとつの叙述トリックが明かされるので、その驚きも確かにあるのですが、何より驚いたのはこの話でついに神様が "未来" を語ったこと。詳しくは触れませんが、"過去" のことについて語るだけなら、探偵団たちと同様に、神様は特別な情報源を持っていて、事件をいち早く推理しているだけとも考えられます。

しかし、それが "未来" となると話は別。これでますます、神様の言うことは絶対と思うしかなく、それが後半の話を読むのに十分すぎるほどの効果をもたらします。未来の扱い方にも関心しましたが、「バレンタイン昔語り」からの展開と構成力がすごかったです。

終わり方は好きかというと正直微妙ですが、後半の展開がよかったので、『神様ゲーム』に続いて印象に残る作品でした。神様の意地悪さを印象づける展開にしつつ、ほんとに怖いのは人間だよね、という持って行き方も好きです。本格ミステリ大賞には詳しくありませんが、大賞を受賞したというのも納得。


著者の麻耶雄嵩さんは他にも『貴族探偵』(ドラマ化されたらしい)や『メルカトルかく語りき』などを発表されているようです。2018年に発売された『友達以上探偵未満』が気になるので、文庫化されたら読んでみようかな。