M・ナイト・シャマラン監督の最新作『スプリット』(2017年公開)を観ました。15年ほど前に公開された『アンブレイカブル』の続編と位置づけられている作品です。
学校でわざと騒ぎを起こしては居残りするケイシー。友達の誕生日パーティーに参加した彼女は、帰りに友人2人とともに見知らぬ男に誘拐されてしまう。その男は23人もの人格を持つ解離性同一性障害(多重人格者)で、ケイシーたちの前に次々と別の人格が現れる。そしてついに、24人目の人格が…。ケイシーたちは無事に逃げ出すことができるのか…という話。
一人十役を演じるジェームズ・マカヴォイ
ケビンという多重人格者を演じているのはジェームズ・マカヴォイ。名前を覚えていなかったのですが、調べてみると『アトミック・ブロンド』のパーシヴァル役じゃないですか。最近見たところだったのに気づかなかった。他には『ナルニア国物語』やX-MENシリーズに出演されているようです。
23人もの人格を持つという難しい役どころですが(エンドロールで10人の名前が乗っていたので一人十役と書きました)、見ていて「あ、いま人格が変わったな」という瞬間が違和感なくわかるんです。しかも人格の中には女性や子どもも居たりして、それを見事に演じ分けているのがすごい。
人格が変わる度に服装も変わりますが、この映画がでは人格が変わると身体的な特徴が変わることを描いているため、血管が浮いていたり顔色が良くなかったり、そういった見た目の変化にもこだわっているようです。
そのためだと思いますが、人物をアップで映す場面が多い印象を受けました。それだけ表情の微妙な変化を重視されている映画です。
ちなみに、ケビンのモデルは、ビリー・ミリガンという23人の人格を持った実在の人物だそうです。『アルジャーノンに花束を』で有名なダニエル・キイスが『24人のビリー・ミリガン』という小説を書いており、『スプリット』はそれをモチーフにしていると思われます。
2015年にはレオナルド・ディカプリオが『24人のビリー・ミリガン』を映画化するという動きもあったらしく、その後どうなったのかは気になるところです。
ケイシーの存在
映画はケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)の現在と過去(幼少期)を交互に描きながら展開していきます。そこで気になるのが、ケイシーの発する言葉の力。説得力があるというか、人を動かす力を感じました。
これは想像でしかありませんが、おそらく『アンブレイカブル』と『スプリット』に共通するテーマとして描かれている「超能力」。ケイシーもそれを持っているんじゃないかなと思います。
『スプリット』で中心に描かれているのは、多重人格者について、人格が変われば身体的能力も変わるという点ですが、ケイシーも何か特殊な力を持っていて、それが続編で発揮されて驚きの展開に…みたいなことを想像してしまいます。
ケビンと言葉を交わすケイシーには、幼少期にとある共通点があることが示唆されており、そこも重要なポイントになっていると思います。
続編への期待
既にシャマラン監督によって、続編の制作が発表されているようです。2019年公開予定で、タイトルは『Glass』。もちろん、これは『アンブレイカブル』の彼を差していると思われます。
『アンブレイカブル』のブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンに加え、『スプリット』のジェームズ・マカヴォイ、アニャ・テイラー=ジョイの出演も決まっているそうです。
『アンブレイカブル』では"壊れないもの"と"壊れもの"という対比を通して、ヒーローと犯罪者が描かれていました。『スプリット』でもその流れを踏襲しているとすれば、やはりケイシーの立ち位置が気になるところです。ケイシーはヒーローなのか、それとも…。
明らかに謎を残して次へ繋がる展開なので、続編でどういうストーリーになるのか、めちゃくちゃ楽しみです。
ちなみに、『スプリット』に出てくるケビンは、『アンブレイカブル』にも登場していたそうですよ。どの場面かは見返してみないとわかりませんが。