綾辻行人さんの館シリーズ第2弾『水車館の殺人』。このシリーズは『十角館の殺人』しか読んだことがありませんでしたが、本格ミステリーがマイブームなので、その流れで読んでみることに。
仮面を被った当主と幼妻が住まう水車館。一年前、とある集会が行われたその場所で、悪夢のような惨劇が起きた。今年もまた、その集会の日がやってくる。惨劇は繰り返されるのか…という話。
ミステリーのシリーズ物といえば、だいたい同じ探偵役が登場し続けるという印象があります。このシリーズも島田潔という探偵役が前作に続いて登場していますが、面白いのは建築家・中村青司が建てた館が舞台になっているシリーズというところ。館シリーズと呼ばれるだけあって、建物に焦点が合っているのが特徴。
前作がある意味、一発逆転ホームランを狙った感があるのに対して、今作はまさに本格ミステリーの教科書というような、セオリー通りの作品といった感じ。
なので、このあとこういう展開になるかな?実はこういう設定でしょう?と予想しながら読んで、ほらやっぱりそうだった!という楽しみ方ができる反面、驚きを求めて読むと少し物足りなさを感じてしまいます。
とはいえ、細部までヨメるかというとそんなわけはなく、考えに考えてプロットの詳細まで解読するという楽しみ方もできそうです。僕は前者のタイプなので、少し物足りなさを感じました。
シリーズ1作目があの『十角館の殺人』というだけあって、どうしてもそれと比較をしてインパクトに欠ける印象はあるものの、本格ミステリーとしては『水車館の殺人』の方が密度が高いのかもしれません。
もう少し館シリーズを読んでみたくなったので、次は迷路館を読みます。余談ですが、島田潔のあの独特の不気味さはどうにかならないんでしょうか笑。