the-man-who-died-seven-times

SFミステリーとして有名な作品。西澤保彦さんの『七回死んだ男』を新装版で読みました。

同じ日が繰り返される「反復落とし穴」という体質を持つ高校生の久太郎。新年会のために資産家の祖父のもとに集まる親族。そこで後継者選びが宣言され、やがて祖父の死体が発見される。久太郎は体質を活かして祖父を救うことができるのか…という話。

全体的にコミカル

タイトルと表紙からしてシリアスな印象を持っていたのですが、登場人物たちのキャラクターが面白く、文体も軽いのでコミカルで面白かったです。七回も死ぬのに全然暗くない。

タイムリープものは冗長になったり、設定が複雑すぎて理解不能だったりしますが、序盤で久太郎が自身の体質(設定)について丁寧に説明してくれるのでわかりやすい。繰り返される日の描写も適度に短いので、まったく飽きずに読めました。

SFとして読むと、正直、タイムリープするだけなので物足りなさを感じます。ですが、祖父の死を防ぐことはできるのか、犯人はいったい誰なのか、といったシンプルなミステリー要素にタイムリープ要素を絡めることで、こんなに面白いストーリーになるのかと驚きました。

なぜ "七回" なのかを考えながら読むと真相に迫れたような気がしますが、もうちょっとでわかったのにわからなかった、という感覚が好きなので、そういう意味でも満足度の高い作品です。

オチもよくて、ほんとに七回も人が死んだとは思えないほっこりとした読了感を味わえました。笑い要素のある軽いミステリーが好きな方におすすめです。