発表された当時(1926年)、その斬新な叙述トリックが "フェア" か "アンフェア" かが議論されたという『アクロイド殺し』。アガサ・クリスティー6作目の作品で、ポアロシリーズとしては3作目だそうです。
アガサ・クリスティー作品を読むのは『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』に続いて4作目です。すべてエルキュール・ポアロですね。
シェパード医師が住む、とある村の地主・アクロイド氏が殺害される。アクロイド氏の養子が姿をくらませ、事件は謎に包まれる。シェパード医師は、隣に越してきたポアロに協力し、事件の解決に挑む…という話。
フェアかアンフェアか
事件性はそこまで変わった印象もなく、解決編に差し掛かるまではそれ程テンションも上がらず淡々と読んでいました。しかし、解決編に来て一気に持っていかれましたね。読み終えたときはそのトリックに驚き思わず笑ってしまうほど。
似たような作品を読んだこともあるので、正直僕はアンフェアだとは思いませんでしたが、発表された当時(おそらくこの手の叙述トリックが初めて用いられたのだと思います)にこれを読んだ人たちは心底驚いて、「こんなのアリかよー」って思ったに違いありません。そこがアガサ・クリスティーの凄いところだと思います。
ちなみに、『ベンスン殺人事件』で有名なヴァン・ダインはこのトリックに否定的(アンフェア)で、エラリー・クイーンやレイモンド・チャンドラーなどは支持(フェア)していたそうです。日本では、江戸川乱歩は支持していたとか。
僕にとってはフェアかアンフェアかはどちらでも良くて、読み終えたときの驚きが何より面白かったので、それだけで満足です。
最近、この作品へのオマージュとして『黒井戸殺し』というドラマが放映されているようです。叙述トリックが肝となる作品をどのように映像化しているのか気になるところ。
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