the-sign-of-four

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ2作目『四つの署名』。『緋色の研究』に次いでタイトルにもセンスを感じる作品です。

父が消息を断って十年、決まった日に真珠が送られてくるという婦人の相談を受けるホームズ。真珠の所有者の元へ辿り着くと、そこには死体と"四つの署名"が残されていた。署名の意味とは、徐々に明かされる財宝の秘密とは。そして、ワトスン君が…という話。

『緋色の研究』より読みやすい構成

前作『緋色の研究』は二部構成で、第一部が事件発生と解決、第二部が犯人の半生、というきっぱりと分かれた構成で少し読みづらさを感じました(特に第二部)。しかし、『四つの署名』では、相談を受ける、事件が起きる、調査する、犯人を捕まえる、犯人の動機を描く、というわかりやすい構成になっているので、比較的読みやすかったです。

まだシリーズ2作目ですが、ホームズの洞察力と推理力には圧倒されます。そのため、時にはホームズに小馬鹿にされながらも、さっぱりわからないと正直に言うワトスンに非常に親近感がわきます。

さて、そんなワトスンが、相談者の婦人に一目惚れをします。気になる恋の行方は、というのがもう一つのお楽しみポイント。

事件の謎よりも欲望にまみれた人物描写

「四つの署名」の持つ意味が想像と違ったというのもありますが、トリックや密室の謎を解く楽しみはそこまで感じませんでした(探偵が優秀すぎるからかも)。どちらかと言うと人物描写の方が面白く、ドロドロした感じがよかったです。

人間、莫大な財宝を手にするチャンスが巡ってくると、そりゃあ必死になりますよね。


ホームズシリーズを2作品読みましたが、まだ面白さを把握しきれていない感じがするので、次は『バスカヴィル家の犬』に挑戦してみたいと思います。