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米澤穂信さんの『追想五断章』を読みました。リドルストーリー(結末のない物語)がテーマの一風変わったミステリー。

古書店に居候している主人公が、とある女性から、女性の父親が遺した5つのリドルストーリーを探してほしいと依頼を受ける。調査をして1つずつ集めて行く内に、リドルストーリーに隠された真実を知るという話。

"リドルストーリー"(敢えて結末を書かないことで読者に委ねる形式の話)をよく知らなかったので新鮮でした。話が重いので面白い感じではないですが、考えさせられる内容。特に、なぜ女性は真実を知りたかったのか。真実を知った上で何を感じたのか。そういった描写が重くずっしりと来ました。

真実を知りたいと思うのは自然なことですが、真実を知る覚悟を持っておかないと受け止められない可能性もある。この女性には覚悟があった。対して、主人公には最初から覚悟があったわけではない。それでも真実を伝えたのは何故なのか。それによって主人公がどう変わって、これからどういう人生を歩んで行くのか。

小説では描かれていない部分もあり、『追想五断章』自体もまたリドルストーリーなのかなと思いました。米澤穂信さんと言えば『氷菓』などの古典部シリーズや、『春期限定いちごタルト事件』のようなスイーツシリーズ(?)が好きなのですが、こういう作品もたまにはいいですね。『さよなら妖精』も読みましたが、これはあまり合わなかった。